Ameba広告におけるデータ活用の現状と未来

国内最大級のブログサービス「アメーバブログ」をはじめとしたAmeba関連メディア・サービスを活用して広告配信を行うAmeba広告配信プロダクトの開発を担当する林と星にデータ活用の現状・今後の展開について話を聞きました。

編集:星 博之・林 欣朋

  • 2012年、株式会社サイバーエージェントに入社。「天空のクリスタリア」や「Amebaピグ」、「ピグエデン」などの開発を担当。2018年7月よりAmeba広告にて、広告配信サーバの開発やAmeba全体のプライバシー保護対応などを担当。
  • 2011年、 株式会社サイバーエージェントに入社。エンタメ関連のアプリの開発や占いサービスの立ち上げを経験した後、Amebaブログにて、広告配信システムの配信ロジックを担当、現在は開発責任者を担当。

現状のAmeba広告でのデータ活用について

笑顔でノートパソコンを操作している星(右)と、その画面を覗き込む林(左)

インターネット広告はこれまで、個人の属性や行動データに基づいたターゲティング広告が主流となっていました。

あるECサイトで商品を閲覧した後に別のサイトを訪れると先程閲覧した商品が広告として表示される、いわゆるリターゲティングが今でも主流だと思います。また、ユーザーのWebサイト上での行動データを元に性別や年代、興味関心などを類推しユーザーを分類して配信するターゲティングも広告効果を高める上では重要です。


Ameba広告でもこれらの手法で広告効果を高めるために様々なデータを活用しています。

リターゲティングはもちろん、IPアドレスやUserAgentを元にリクエストしてきたユーザーの通信キャリアや地域、OSや機種を特定し、それらを指定した配信をすることが出来ます。

また、Amebaの会員データに上述したような行動データを元に類推した性別・年代を加えた拡張デモグラ配信や、ブログジャンルやキーワードを指定した配信など、メディアを持っているからこそできる、いわゆる1stPartyデータを活用した配信が行えるというのは、Ameba広告の強みと言えると思います。


「個人の属性や行動データに基づいたターゲティング広告」というのが、ユーザーの行動をトラッキングし、そのトラッキングデータを使って、それぞれのユーザーに併せた広告を表示するということになるのですが、最近ではプライバシー保護の観点からこういったユーザーが望まないトラッキングを行うという部分が問題視されてきているかと思います。


みなさんもどのサイトをみても同じ広告が出続けたりして、まるで追いかけられているようで自分のデータがどこまで流れているのか不安に感じた経験があるんじゃないかと思います。

また、そういった広告に不快なクリエイティブが使われていたりといったケースも見受けられます。

※Ameba広告での配信においては、こういった「不快なクリエイティブ」が使われないように審査を厳しく行っていますのでご安心いただければと思います。


Apple社の「Privacy」をテーマにしたCMなどご覧になった方も多いと思いますが、AppleやGoogleといったテックベンダもこういったプライバシーの問題にプラットフォームという立場からの制限を進めています。Apple社のITPや最近で言うとATT(App Tracking Transparency )、Google ChromeのPrivacy Sandboxなどがこれにあたるかと思います。

また、2022/04には改正個人情報の施行が控えており、こちらでもユーザーのプライバシー保護という課題に対しての対応を求められている部分も多くあります。


このように、テクノロジー面・法律面の両面からユーザーのトラッキングを制限という動きがあるというのが現状と言えます。

こういった問題は、今後のデータ活用という観点からも慎重に取り組んでいく必要がある重要なものと捉えています。

今後のAmeba広告でのデータ活用の展望について

二人で向き合って和やかに話している様子。左:林、右:星

先程のユーザーのプライバシー保護という課題に対して、よりエンドユーザーの方々・広告主の方々が安心して使っていただけるような広告プロダクトというのを目指しています。

今後のAmeba関連メディアの1stPartyデータをより活用した広告配信に向けて、Ameba広告だけではなくAmeba関連メディアも含めてユーザーのデータをより適切に扱っていく必要があります。

こちらは主に、2022/04改正個人情報の施行に向けてどのようにデータが使われているかの透明性・ユーザー自身でデータを制御できるといった点を向上させた上で、データを活用していけるようにするといった対応を進めています。


また、テックベンダの制限という点では、前述のPrivacy Sandboxなどではユーザーのプライバシーとなるような情報を保護した上での広告配信が行えるような様々な仕組みも提案されており、こういった仕組みを活用してユーザーのプライバシー保護と適切な広告配信が両立できるようにという点も随時検証しながら進めているという状況です。


今後はユーザーの個人情報をより適切に扱いながらも、広告効果を高めるためのデータ活用が重要になってくると考えています。

その中でもまずは、1stPartyデータの活用に注力して行きたいと考えています。

たとえば、Amebaブログの閲覧履歴や広告の接触履歴などのデータからユーザーの興味関心を類推し配信精度の改善につなげたり、ターゲティングとして指定配信する事もできるようになると思います。


また、現在Ameba広告ではContextualターゲティングにも取り組んでいます。

これは機械学習を用いてブログ記事を適切に解釈することで、その記事に関連した広告を配信する事ができるというものになります。

Amebaブログには日々様々なテーマのブログ記事が大量に投稿されていて、蓄積された記事数は日本のブログサービスの中でもトップクラスになります。

この大量の記事データがあることで、機械学習で精度の高いテキスト解析を行うことが出来、そのデータを活用することで精度の高い広告配信が行えるようになると考えています。

Contextualターゲティングはユーザーの情報を必要としないため、ユーザーのプライバシー保護といった部分もクリアになる未来の広告配信として期待しています。


今後もユーザーのプライバシーを保護しながら、Ameba広告の強みを活かした広告配信を模索し、よりよい広告プロダクトを目指していければと考えています。

  • 編集星 博之・林 欣朋

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