AmebaがDX人材育成に取り組む、たった1つの理由

DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の不足やデータ活用の重要性が叫ばれる昨今、AmebaではDX人材育成を目的とした「データ村塾」という取り組みを行っています。 今回の記事では、その設立の背景や具体的な取り組み内容、今後の展望についてご紹介させていただきます。 ※DX人材とは、デジタルに精通していながら、率先して事業を変革させることのできる人材のこと。

出演:田島隼人、鈴木元也 取材・文:田島隼人 編集:Ameba編集部

  • 田島 隼人
    2013年にサイバーエージェントに新卒入社し、新規事業開発室のプランナーとして配属。その後、プラットフォーム事業部やマーケティング本部での業務を経験し、2018年に Ameba事業本部へ異動。現在はAmebaボードメンバーとしてマーケティングを メインミッションとしつつ、経営管理や戦略策定、DX人材育成など幅広い業務を担当している。 妻と2人の子供との4人暮らし。
  • 鈴木 元也
    主にB2B向け受託分析の会社を経て、2017年中途入社。 Media Data Tech Studioに所属し、自社メディアサービスの分析レポーティングや機械学習システムの改善支援、ビジネスメンバーへの分析アドバイザリー等を行う。

きっかけは、あるベンチャー創業者のひとこと

以前、参加したセミナーで、当時注目されていたベンチャー企業の創業者とお話しする機会があり、データ分析の話題になりました。


「うちは全社員がSQLを書けて、みんな普通に分析してるよ。Amebaさんはどうなの?」


正直、返す言葉が見当たりませんでした。


200名近くの社員がいるAmebaで、当時SQLをまともに書くことができる社員の比率は数%程度だったのです。


このままでは、ベンチャーをはじめとする競合他社に負けてしまう。


その日から、危機感を抱くようになりました。

データサイエンティストからの提案

そんな中、Media Data Tech Studio所属(以下、MDTS)でAmebaを担当しているデータサイエンティスト(以下、DS)の鈴木から、こんな提案を受けました。


「DSがビジネス職の社員にデータ活用のノウハウを教える、というのはどうでしょう?」


実は、それまでもデータ分析の勉強会や、学習用ドキュメントの作成などに取り組んだことはありましたが、どれも継続的な成果にはつながっていませんでした。


最も課題に感じていたのは、「現場レベルでの多岐にわたる分析業務を教えられる人材の不足」で、研修をやったはいいが実務レベルで応用するのは難しくなかなか実践につながらないという状況でした。


「それはいいですね、DSであれば幅広い分析にも対応できる。ただ、DSが教えられる人数にも限りがありますよね。」


「そうなんですよね。でもデータ活用できる人が増えないと、DSの専門性を発揮できる機会が減ってしまいます。DSが育てた社員が、さらに他の社員を育てるという循環がつくれれば、スケールできるんじゃないでしょうか。とにかく、まずはやってみましょう。」


DSが行うデータ活用といってもいきなり統計的な難しいことをやるわけではなく、まずは基礎的な集計で現状を把握して傾向や解釈が見いだせないようなときにはじめて統計的なアプローチをとることが多いです。

基礎的な集計で分かることをビジネス職が見いだし集計での限界が来た時にDSが協力することで、Ameba全体でのデータ活用範囲拡大とデータ活用レベル向上を実現することを目指したいと考えました。

データ村塾がスタート

こうして、2021年11月にDX人材育成プログラム、名付けて「データ村塾」がはじまりました。(第1期は塾生8名、講師4名体制で始動)


ここで、データ村塾が目指すゴール、育成の仕組み、具体的なカリキュラムについてご紹介します。

何を目指しているのか?

データ村塾が目指しているのは、「Amebaの全社員が、自分自身の力でデータ活用を成果につなげられる」状態です。


これを実現するためには、以下3つのSTEPをクリアする必要があります。


 STEP1:データ活用のイメージを持てている

 STEP2:データ活用を学べる環境がある

 STEP3:データ活用を自分で行う能力が身についている


実際のところ、人によって習熟度はバラバラなので、まずはSTEP3に到達する社員を一定数育て上げ、その人たち(エバンジェリスト)が各チームの仲間を育成する文化を醸成したいと考えています。

【画像】データ村塾が目指す活用データ

お手本となる社員が、データ活用で成果を上げている様子を間近で見ることによって、周囲の社員がデータ活用の「イメージを持てている」、どうすれば自分もデータ活用ができるのか「学べる環境がある」という状態をつくり上げることがねらいです。

どうやって育成しているのか?

では、どのようにして、みんなのお手本となる社員を育てるのか。


「研修」と「現場での実践」の両輪を回すことで、これを実現しています。


具体的には、MDTSがビジネス職向けに用意している研修プログラムをベースに基礎を学び、現場の実業務で応用することによってスキル定着を図っています。

【画像】データ村塾

現場での実践に際しては、トレーナーであるDSがデータ活用の「壁打ち」として実務をヒアリングしてデータ活用方法を提案したり、アウトプットに対する「レビュー」を都度行うことで、学習の品質を高められるように取り組んでいます


さらに、塾生ごとに月1回の振り返り面談を実施し、スキル習得の進捗確認や翌月以降の育成計画の修正などを行っています。

何ができるようになるのか?

カリキュラムは、データ分析のプロセスに関わる「問題解決」「SQL」「BI」の3カテゴリを軸に構成されています。

【画像】データ分析のプロセス


  • 問題解決
    • KPIツリーなどKPIマネジメントの考え方を学び指標設計をします
    • ロジカルシンキングを学びロジックツリーやイシューツリーを作成します
  • SQL
    • PatriotFDC(自社データ基盤)とBigqueryの基本的なSQLの書き方を学びます
    • Githubを利用したレビュー方法を学びます
  • BI
    • スプレッドシートのデータコネクターを利用してでモニタリングレポートの作成変更をします
    • Tableauを利用してモニタリングレポートの作成変更をします


さらに、カテゴリごとに詳細なスキルを定義しており、合計33のスキルに対して、研修と現場それぞれでの習熟度を評価しています。


研修と現場それぞれで全スキル習熟完了と認められた塾生のみが、晴れてSTEP3到達となります。


※詳細なカリキュラム内容が知りたい方は、ぜひご連絡ください

これからどうしていくか

2022年3月でデータ村塾第1期が終了し、複数名がSTEP3に到達することができました。


全員クリアとまでは行きませんでしたが、第一歩としてはまずまずの成果が得られたと考えています。


また、データ村塾開始当初から、「私も参加したかった、次回はぜひ入れてほしい」という声をたくさんいただき、予想以上にニーズが高いことが分かったのも大きな収穫でした。


今回、第1期を終えて強く感じたのは「データ活用のイメージを持ってもらうことの大切さ」です。


データ活用のイメージを強く持っている、つまり、データ活用を成果につなげる意欲の高い塾生ほど、すごいスピードでスキルを習得していったのです。


これを受けて、まずは「Amebaの全社員が、データ活用を成果につなげるイメージが持てている」状態をつくることに集中していきます。


そして近い将来、Amebaが「データを武器に成果を生み出し続ける組織」になれるように、引き続き尽力していきたいと思います。

  • 出演田島隼人、鈴木元也
  • 取材・文田島隼人
  • 編集Ameba編集部

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